喫煙室・喫煙ブースの作り方や組み立て式、リメイクする方法

 

喫煙ブースを設置する前に改定健康増進法や喫煙ブースの技術的基準を知っておく必要があります。先ずは改定健康増進法や厚生労働省が示す「分煙」基準について解説していきます。

 

喫煙ルームの清掃なんて面倒だから「全室禁煙にして欲しい!」と考える方もいるでしょう。

 

全室喫煙にしてしまえば、極端な話タバコの為の掃除の費用が「0円」で済みます。

 

しかし、日本国内には未だに男性だけで1400万人もの喫煙者がいる為、そう簡単に完全禁煙に踏み込めない事情があります。

 

喫煙者と非喫煙者が仲良く共存出来る環境を考えているなら「喫煙所」の設置なんて如何でしょうか?

 

年々厳しくなる喫煙規制。それでも日本は他の先進諸国と比べてたばこ規制はかなり「緩い」と言われており、未だに市役所や駅の構内に喫煙所が設けられています。

 

(外国人はこの光景を見て目を丸くしています)

 

他の先進諸国からの風当たりが強い事もあり、日本もとうとう重い腰を上げて受動喫煙対策に乗り出し、健康増進法の一部を改正する法律が2018年7月に成立し、2020年4月1日より全面施行される運びとなりました。

 

この改正法は主に「望まない受動喫煙の防止」に重点を置かれており、今までマナーとされていた屋内での喫煙が一部を除いて全て「禁煙」とするルールになりました。

 

その中でも特に20歳未満の子供や、患者などが利用する学校や医療系の施設では、屋内のみならず、敷地内全てで喫煙が原則禁止となりました。

 

もしも違反した場合、個人に30万円!もの罰金が科される事もあるそうです。

 

屋内施設じゃどこも喫煙出来ないの?と心配する人もいるかもしれませんが「受動喫煙を防止するために必要な措置が取られた場所」があればそのエリア内に限って喫煙する事が出来ます。

 

それが「喫煙所」と言う訳です。

 

しかし単純に喫煙所とは言ってもパーテーションで仕切って灰皿を置いて、換気扇を設置すれば良い訳ではありません。

 

改定健康増進法では

  1. 喫煙室の出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m毎秒以上であること
  2. たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること
  3. たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていること

と法律で技術的な基準を満たした喫煙所でないと屋内での喫煙が認められないのです。

 

簡単に「喫煙所」とは言っても技術的な事も絡んでくる為、素人がおいそれと手を出す事が難しい問題です。

 

しかし、最近は喫煙専用のブースやパーテーションを使って喫煙専用の部屋を作る会社も増えてきており、費用の面でも「受動喫煙防止対策助成金」を使えばある一定額が免除されるので負担が少なく設置可能となっています(後述)。

 

喫煙所の設置で特に気をつけておかなければいけないポイントが「分煙」です。

 

タバコの煙をいかにして「外に漏らさずに排出する」事を考えておかなかれば、どんなにキレイな喫煙ブースを作っても意味がありません。

 

タバコの煙は「上昇して拡散」します。更に拡散した煙は壁や天井、家具などの物体の表面を伝って移動します。

 

壁や天井、家具などの配置は部屋やお店の構造によって異なってくる訳で、それぞれの環境の「特性」を詳しく把握しておく必要があります。

 

分煙の基礎知識

 

一口に分煙と言ってもその方法は様々です。

 

分煙とはタバコを吸う喫煙者と吸わない非喫煙者を分ける事ですが、その方法を大まかに分けると「空間分煙」と「時間分煙」に分けられます。

 

「空間分煙」とは喫煙する場所を予め設けておき、その他の部分は「禁煙」とする方法です。

 

ファミレスやカフェなどで喫煙席と非喫煙席に分けられているのも「空間分煙」ですし、駅の構内や役場にある喫煙ブースも同じく空間分煙となります。

 

空間分煙のメリットは、喫煙者の方が快適に過ごせる事や、特に飲食店だと喫煙者・非喫煙者と別け隔てなくお客さんが入れる為、収益面で増収が期待出来る事くらいでしょうか。

 

デメリットは「コスト」と「構造的な制約」でしょう。

 

喫煙者の為にわざわざ設置するにはコストが掛かり、しかも限られたスペースに喫煙ブースを割く事は決して容易な事ではありません。

 

なんとか工面して喫煙ブースを設置したとしても「換気扇の下に灰皿があるから大丈夫」なんて考えは90年代で終わっています。

 

今は「煙の流れ」までも考えておかなければ「分煙」とは言えないのです。

 

先程タバコの煙は「上昇して拡散」するとご説明しましたが、タバコの煙は無風状態でも7メートル四方に拡散するのです。

 

この煙をいかに喫煙ルームから漏らさず、外に排出する事が出来るのか?が重要な鍵となってくる訳です。

 

方法としては換気扇だけの力に頼らず、境界部分(つまり入り口)から風速毎秒0.2m/s以上の空気を作り、更に「給気口」を設置して積極的に煙を換気扇側へ向けて「排気」する必要があります。(排気風量)

 

排気風量の0.2m/sという数字、実は改正健康増進法でも義務付けられています。

 

この0.2m/s以上を満たす排気風量の計算方法がこちら。

 

排気風量の計算式

 

例えば開口部の高さが2m、幅1mの排気風量を求める場合は「開口部面積2u×境界風速0.2m/s×3,600s/h=1,440u/h」となります。

 

費用や構造面で難しい場合は「時間分煙」なんて方法もあります。

 

これは読んで字の如く、時間により分煙ルームを設定する方法です。

 

レストランやカフェなどで「ランチタイムのみ禁煙」としているのも時間分煙の一つです。

 

この方法の何よりのメリットはコスト面でしょう。特別に喫煙ブースを設置する必要がない為、お金が全く掛かりません。

 

デメリットとしては、タバコの煙に含まれている有害物質やニオイが壁や天井、テーブルや椅子などの家具に付着している為、非喫煙者の中には不快感を訴える人が出てくる可能性があります。

 

この時間分煙は近年では健康増進法の改正によって、この方法を採用する施設が減少傾向にあります。

 

喫煙ブース設置のルール

 

完璧に分煙化をするなら「喫煙ブース」の設置が望ましい事がお分かり頂けたかと思いますが、そのルールも厳格に定められています。

 

屋内か屋外の違いがありますが、基本的な考えは同じです。

 

喫煙ブースではタバコを吸う事が主な目的であって、その中で飲食をする事が禁止されています。

 

喫煙ブースで吸う事が出来るタバコの種類は、一般的な紙巻きたばこや水タバコ、葉巻の他、最近主流となってきている加熱式たばこなどとなります。

 

喫煙ブースを設置するルールも厳格に決められており

  • その施設の出入り口と喫煙ブースを設置する場所に標識を掲示する(ステッカーなどを貼る)
  • 技術的基準に適合している事(排気風量の0.2m/s・浮遊粉じん濃度0.15mg/?以下、煙やニオイが非喫煙ブースに漏れないか?など)
  • 二十歳未満の者は立ち入り禁止

以上の基準を満たしておく必要があります。技術的基準に適合している事については排気風量の0.2m/s、浮遊粉じん濃度0.15mg/?以下、煙やニオイが非喫煙ブースに漏れないか?などの条件をクリアしていなければなりません。

 

喫煙ブース設置の費用は?

喫煙ブース

 

喫煙室とは言っても様々なタイプが存在しており、それによって費用もかなり違ったモノとなってきます。

 

下は10万円以下からありますが高価なブースになると100万円以上も違ってきます。

 

パーテーションタイプ喫煙ブース

 

パーテーションで喫煙する場所を区切って喫煙ブースを作る方法です。

 

低価格で導入可能で、加工しやすく設置も容易な為、短期間での設置可能です。

 

パーテーションは不燃性の高い「アルミ製」を使い、更に開放感とともに長居を防止する為にガラスパーテーションの併用がオススメです。

 

パーテーションだけの設置の場合だと、2坪4名定員で98,000円〜程(パーテーションラボの場合)からあります。

 

 

組み立て式喫煙ブース

組み立て式喫煙ブース

 

パーテーションタイプとは違って、最初から喫煙ブースとして設計されている1つの「箱」です。

 

キット販売となっており(メーカーによっては完成品もあり)、その中には換気扇・LED照明などがセットされています。

 

パーテーションタイプよりも更に簡単に設置可能で、タイプによっては屋外にも設置可能です。

 

組み立ても1〜2時間程度と短時間で可能。業者に頼む事も可能ですが、ご自身で組み立てをすると工賃さえも無料で済みます(注:ダクト工事費のみ必要。すでにある場合は不要)。

 

ランニングコストもほぼ掛からず、定期的な掃除以外する必要なし。

 

メーカーによっては非常に洗練されたデザインを採用している所もあり、オシャレなオフィスに置いても全く違和感を感じさせません。

 

良いところばかりの組み立て式の喫煙ブースですが、唯一のデメリットがその「価格の高さ」。

 

ヨーロッパ調の洗練されたデザインの喫煙ブースを販売している株式会社中央商会の「エコスモーキング」の場合、標準タイプでおよそ90万円(税・運搬費別)。

 

ダイレクトジャパンから発売されている「スモークステーション」で1人用(0.23坪)の小柄なモデルでも75万円、2人用ともなると105万円もします(運搬費別)。

 

本体代金は助成金で何とかまかなえるとしても、高額となる事が予想される運搬費や設置工事費(個人で行えば無料ですが)は自腹となる事が予想される為、導入を検討される方はしっかりとしたリサーチ&数社からの見積もりを取る事をオススメします。

 

喫煙用集塵(しゅうじん)・脱臭機の設置

喫煙用集塵

 

パーテーションや組み立て式喫煙ブースを設置するスペースがない!と言う方には「喫煙用集塵・脱臭機」 を設置する方法もあります。

 

機械以外に壁なども一切ない為、知らない人が見ると不安に感じるかもしれませんが、助成対象となる性能を有する(喫煙区域の粉じん濃度が0.15 mg/m3以下、または必要換気量が 70.3 ×(席数)m3/時間以上)ものであれば問題ありません。

 

オフィスなどで良く見かけるのは三菱電機の「スモークダッシュ」やトルネックスの「トルネードカウンター」です。

 

スモークダッシュ

 

構造的にはどちらも家庭用空気清浄機と似た構造となっており、強力ファンで煙を吸い込み「HEPA」フィルターで塵や花粉等の細かい粒子をキャッチ。脱臭もプラズマと特殊活性炭フィルターの併用と、ほぼ同じです。

 

スモークダッシュの上位機種にはエアカーテンを吹き出す「スモークナビ」を搭載しており、対面者が吹き出す煙さえもキャッチし吸引してくれます(BS-T13C・BS-C13C)。

 

普通に使っている分には煙も漂わずニオイも全くしない等非常に優れたマシンですが「捕煙半径」を超えてしまうと、煙をキャッチ出来ない事もあります(スモークダッシュフラットシリーズで50センチ〜70センチ。スモークナビ搭載モデルで80センチ。)。

 

モラルのある喫煙者なら良いでしょうが、マナーを守らない人だと十分な効果が発揮できない可能性があります。

 

どちらにせよ、完璧に煙・ニオイを防ぎたい時にはパーテーションや喫煙ブースの背設置が望ましいでしょう。

 

口コミ

 

スモークダッシュ三菱電機 型式BS-FC13Dタバコの煙は細かく除去が困難な上、有害物質が多いのでフィルターは直ぐに目詰まりしていまいます。完全な除去は不可能です。


 

 

喫煙用集塵の相場は
三菱「スモークダッシュ」スモークナビ付きカウンタータイプ(BS-C13C+BT-90C-W)・・メーカー希望小売価格550,000円(実勢価格:275,000円前後

トルネックス「トルネードカウンター」・・メーカー希望小売価格515,658円 (実勢価格270,000円前後


喫煙用集塵の実勢価格から見ると相場的には27万円前後からありますが、それにしても高いですね。

 

 

喫煙室をリメイクする方法

元々喫煙室(喫煙所)がある、という方も、そのまま利用していれば「受動喫煙対策」で引っかかってしまうかもしれません。

 

しかし何もない状態から立ち上げるよりも手間が掛からず、費用面でも安く上げる事が可能です。

 

喫煙所をリメイク(リフォーム)する場合、気をつけなければいけない点ですが、基本的に厚生労働省が示す「分煙」基準を満たしておかなければいけません(気流が0.2m毎秒以上・煙が室内から室外に流出しない・煙が屋外や外部に排気)。

 

リメイクに当たっては壁紙をヤニの付着に強いものや、脱臭効果の高い製品 (例:3M ダイノック フィルム. SRシリーズ 4,900円/u〜) を選ぶ事や、タバコを吸う人数に合わせた空調の設置(必要換気量。CO濃度必要換気量。室内の一酸化炭素濃度を10ppm以下とする)が必要となります。

 

(当然、境界部分から風速毎秒0.2m/s以上の気流の確保も必要です)

 

必要換気量は計算で求める事が出来、同時喫煙人数が4人の場合だ10.6ppm/1本(平均的なタバコ1本あたりの一酸化炭素濃度)÷10(ppm)×4(タバコを吸う人の人数)×60≒255(m3/Hr)となります。

 

これプラス「室内浮遊粉じん濃度0.15(mg/m3)以下」とする必要換気量の計算をしなければならず、その場合の計算はタバコ1本あたりの粉じん量を2mg/分とする場合、4人喫煙者がいる事を想定して2÷0.15×4×60≒3200(m3/Hr)となり、つまり「300m3/hr」の流量を持つ空気清浄機を設置しなければいけないという事になります。

 

このあたりの空気清浄機ともなると一般家庭用では対応出来ず、先程紹介したスモークダッシュなどのカウンター型や天井に据え付ける「天井カセット形」「天井埋込ダクト型」などが必要となり、当然費用もアップします(助成金が使えますが)。

 

リメイク(リフォーム)に当たっては「受動喫煙防止対策助成金」の申請に明るい業者が好ましい為、専門の業者に依頼する事をオススメします。

 

(リフォーム業者)RENOXIA(リノシア)東京都足立区青井5-13-7SHOWAコーポレートビル6F TEL:0120-971-170

 

 

 

受動喫煙防止対策助成金制度

国(厚生労働省)は受動喫煙防止の為、中小企業事業主に工事費の半額を助成する「受動喫煙防止対策助成金制度」を設けています。

 

(第一種施設の病院や小学校は受け付けていない)

 

対象事業主は
  1. 小売業(小売業、飲食店など):労働者数50人以下もしくは資本金5,000万円以下 
  2. サービス業(物品賃貸業、宿泊業、娯楽業、医療・福祉など):労働者数100人以下もしくは資本金5,000万円以下 
  3. 卸売業:労働者数100人以下もしくは資本金1億円以下 
  4. その他の業種(農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業、保険業など):労働者数300人以下もしくは資本金3億円以下

などとなります。

 

助成対象は

  • @喫煙室の設置・改修 
  • A屋外喫煙所(閉鎖された空間)の設置・改修 
  • B換気装置の設置

などとなり、更に宿泊・飲食業に限り@A以外の受動喫煙防止措置も対象となり、1つの現場で「1回だけ」申請する事が出来ます。

 

助成対象

助成を受けるにあたって一定の条件を満たさなければいけません。

 

@の喫煙室の設置・改修の場合だと「喫煙室の入り口から風速が 0.2 m/秒 以上&他は全て禁煙にする事」です。

 

すでに喫煙ブースがある場合でも、上記の要件を満たす事で助成対象となります。

 

Aの屋外喫煙所ですが、閉鎖されたブースを設置しなければ助成対象とならないので注意しましょう。

 

要件ですが「直近の建物の出入口に喫煙による粉じん濃度が増えないような対策がなされていること」となっています。

 

Bの換気設置ですが、特別に喫煙ブースを設けずに喫煙スペースを設ける場合です。

 

主に宿泊業や飲食店など、不特定多数の人が訪れる業種で認められています。

 

この場合、喫煙区域のタバコの煙の濃度を一定以下とする必要があり、措置を講じた結果、喫煙区域の粉じん濃度が0.15(mg/u)以下である事と、店内の喫煙席の数に応じた換気量が1時間当たり「70.3×席数(u/時間)」以上であることなどの条件が挙げられます。

 

喫煙室の出入口から喫煙室の内部方向に向けて、秒速0.2以上の風が吹くように換気の設計を行わなければなりません。

 

助成金額

気になる助成金額ですが、最大「100万円」まで受け取る事が出来ます(以前は200万円でした)。

 

これは例えば@の喫煙ブースの設置&Aの屋外喫煙ブースの設置を同時に行った場合だと、50万円+50万円=100万円として受け取る事も出来ます。

 

ただしこれはあくまでも「上限額」であって、実際に受け取る事が出来る金額は「単位面積辺りの経費上限額」が決められている事を忘れてはいけません。

 

具体的な内容はこの通りとなっています。

@:喫煙専門室の設置・改修:喫煙室の面積(u)上限60万円 

A:(閉鎖された)屋外喫煙所の設置・改修:屋外喫煙所の面積(u)上限60万円 
B:@・A以外のの受動喫煙防止措置:措置を行った面積(u)上限40万円

 

例えば飲食店以外の事業所が3?の喫煙室の設置や改修を行う場合、合理的な理由が認められない限り3u×60万円/u=180万円が助成対象となり、その半額の「90万円」が実際の助成額となります。(詳しくは各都道府県労働局へ問い合わせして下さい)

 

受動喫煙防止対策助成金のメリット

受動喫煙防止対策助成金を使うメリットはなんと言っても金銭的な負担の軽減でしょう。

 

それと健康増進法の基準に準じたものとなる安心感から、スタッフの就業面でもメリットが生まれます。

 

(タバコを吸う・タバコを吸わない人でも快適に仕事が出来る=長く働く事が出来るなど)

 

知らない人も多い制度なので、サービス業以外の業種の人も知っておくとよいでしょう。

 

まとめ

喫煙室を作る上で必要な分煙基準や受動喫煙防止対策助成金制度などの情報などを書きましたが、喫煙ブースを設置後は、快適な喫煙室を維持するためにもオゾン脱臭機も同時に購入しておく事をオススメします。

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